動物の診療 第12回  尿管結石 (2018.6.29)

 うさぎさんのレントゲンです。

 尿管に結石があります。尿管とは腎臓で作られた尿が膀胱へ流れていく通り道です。ここに石が詰まってしまうと、尿の流れが止まってしまい、腎臓が水風船のように膨らんでしまうので(水腎症)、とても危険です。

 手術でとってしまう・・・というのも一つの方法ですが、うさぎの尿管の手術は後に問題が起こる可能性があり、少々やっかいです。
 この時点で石は少しずつ膀胱に向かって流れていて、膀胱に抜ける可能性があるので内科療法で様子を見る事にしました。


 石が膀胱まで流れてくれれば手術は楽になりますし、あわよくば尿道も通り抜けて尿と一緒に自然に石が出てくるケースもあります。そうなれば麻酔も手術も必要ないので、うさぎさんの負担が少なくてとても良いのですが・・・・。

 そして・・・・結局、詰まってしまいました。緊急事態で、手術を決断せざるを得ません。

 石が詰まっている位置は周りに触ってはいけない組織が多い場所でなかなか大変です。

 手術では尿管を切って石を取り出し、細い糸で縫います。完璧に縫わないと尿が漏れたり切った部分が再生するときに尿の通り道が狭くなったり、最悪塞がってしまったりします。非常に細かい作業なので集中して慎重に手術を行います。


 摘出しました。シュウ酸カルシウムの結石でした。

 術後の経過は良好で腎臓不全も無く、正常に機能しています。


 再発予防のために、カルシウム含量の多い野菜などは制限します。基本的には食べ放題のチモシーを主食に低カルシウムのペレットを少量。1年以上経過していますが再発はありません。