動物の診療 第8回 ASAP!!!
(2015.1.27)

うさぎさんのレントゲンです。
真ん中の丸い部分が液体とガスでパンパンにふくれた胃です。急性の胃拡張です。既にショック状態で月に帰りかけています。

 のんびり超音波検査なんかしていると心臓が止まります。酸素を投与し、急速な輸液とともにショックに対する治療を行い、口から胃にチューブを入れて中身を吸引します。こうやって月に帰ろうとフワフワしているうさぎを強引に引きずり戻します。


 吸引した胃の中身には飲み込んだ毛の塊が含まれていました。なんらかの原因で胃腸の動きが悪くなり、毛づくろいで飲み込んだ毛が蓄積したようです。


 我に返ったうさぎの検査をすすめると、胃~小腸あたりに何か塊が停滞しているようです。内科的な治療を試みましたが全然ダメで再び胃が急速に膨れてきました。



 麻酔をかけて開腹すると、十二指腸が赤黒くうっ血して中に固いものが詰まっていました。中身を摘出すると硬化した毛球でした。それほど大きくないですが詰まりやすい形状のようです。


 麻酔から覚めるとすぐに平然と牧草を食べ始めました。術後は不安定になりがちなのでしばらく入院で経過観察しました。良く食べ良く遊び順調に回復しました。この子のうさぎライフはまだまだ続きます。